YHWH

Sep.2012

僕は子供の頃、飾り窓の住人だった。
華やかな世界だったけど、ずっと孤独だった。

最後のお客がラビだった。

翌朝、僕は飾り窓の住人じゃなくなったことを告げられた。

僕を拾ってからずっと御世話してくれてた
マダム(実はちょっと怖い人だった)にさようならって言った。

マダムはちょっと悲しそうに笑って僕を送り出してくれた。
でも、ラビからいっぱいお金貰ったんだって。


ラビは他のお客と違った。
ミルク紅茶をふたつ頼んで、朝までいろんな話を聞かせてくれただけ。
・・・フシギなお客だった。

ラビの元にきて3年ほどのあいだ、まるで王子様みたいに暮らしたんだ。

ラビは僕になにもしない。
それは僕を愛しているからなんだって。

13歳の誕生日(・・・ラビと出逢った日)に
僕はこの城に預けられることになった。教育のためなんだって。

ラビのいない生活は寂しいけど
友達がいっぱいできたよ。

長い休暇はラビといっしょにいられるしね。

でも、本当は僕が傍にいると困るってことも知ってるよ。