2014/10/31
風変りな魔物

(

トキ「おや?見ぬ顔だな。オレの家の前で何をしておる?」



カイン「あそこの城の住人だ・・・・。いや厳密に言うと間借り人ではあるが。」



トキ「魔の類だな?」
カイン「どうして判る?」
トキ「陰陽師に判らぬことがあるとでも?(だいたいあの城は魔物の巣窟だ)」



カイン「陰陽師?神に仕えるものか?」
トキ「似たようなものだが正確には違う。
天と地、数や暦、森羅万象の気を視る占い師とでも言おうか。
ああ、鬼が出たときに祓いに行くこともあるぞ。得意分野だ。」



カイン「・・・・・エクソシスト(悪魔祓い師)の類か。私は祓われる側だな。」
トキ「では要するに鬼の属だな。名は?」



カイン「カイン・・・・・”悪魔”だ。」



トキ「ほう?素直に名乗るとは・・・オレに祓われたいのか?」



カイン「いくら魔物でも、疲れた時に茶の一杯でも飲みたくなるものだ。
昼間は魔力も使えず・・・体力の限界なのだ。
城に帰るまでの道にはここしか館が見当たらなかった。
何卒ご慈悲を賜りたい・・・・。」



トキ「そう言うて憑りつこうと思うても無駄だ。オレは冷酷だぞ。
祓われたくなければ消えろ。」
カイン「私は紳士的な悪魔だ。祓われるようなことはせん。
陰陽師は瀕死の虫も踏みつぶすような人でなしなのか?」



トキ「おぬしは瀕死の虫なのか?」
カイン「・・・・・同様だ・・・・。」



トキ「ならばオレは人でなしだ。」



トキ「このオレが悪魔のコトバを信じるとでも?」
カイン「陰陽師の目は節穴なのか?!真実が見えんのか?」



カイン「私はちゃんと名乗った。素性も包み隠さず伝えた。
あとは名を言って招いてくれればそれでいい。」



トキ「そうか。妖魔と同じく悪魔も独りでは招かれなければどこにも入れんのだな。
独りでは人間界の喫茶店にも行けんのか。厄介よのう。
だがオレがわざわざ見ず知らずのオニを自分の家に招き入れる必要があるとでも?
水なら城に帰ってから飲め。」



カイン「行き倒れ寸前の者を見殺しにするのか?水ぐらい飲ませてくれ。
貴方の家の前で本当に果てるぞ。」



トキ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
カイン「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」



トキ「まあ、いい。オレは別に魔物など恐ろしゅうないからな。カイン、中へ。」
カイン「ありがたい・・・・・・。」







トキ「「本当に良いオニのようだな。」
カイン「そのとおり。よい魔物だ。(イスはないのか。変な屋敷だな)」


トキ「なぜにそんなに疲れておる?」
カイン「山の上の教会跡を観に行っていたのだ。」
トキ「どうしてまた?」
カイン「”下観”だ。ナイショだぞ。詳しくは先日のdiarydiaryを読め。」


トキ「まぁ別に知りとうないので構わん。オレに知ってもらいたければ巻物にしてよこせ。」
カイン(面倒な奴だなーーー!!)



トキ「あの城の魔物は魔物然としていない者が多すぎる。」
カイン「・・・・というと?」




トキ「人間と慣れあいすぎておる。
人間が魔の領域に足を踏み入れると、ろくなことがないように、
魔物も人間界にあまり馴染むのはよくない。悪い影響を受けあうだけだ。」



カイン「硬派なんだな。」
トキ「仕事柄、な。」



カイン「では私のように魔物には禁忌である教会に心惹かれるような悪魔はサイテーだな。」
トキ「教会?」
カイン「神のヤシロのようなものだ。」
トキ「教会というより神父に、であろうに。」



カイン「・・・・・・・・今、心の中で”サイテー”と言ったな。判っておるわ。
陰陽師はそんなに偉いのか?ならば私の事も占ってくれ。」
トキ「占うまでもなく、透けて見えておる。」



トキ「”波瀾万丈”・・・だ。」
カイン「やはり・・・な。」



トキ「もうひとつ、自分で自分を”サイテー”という言葉で縛しておる。
最低レベルにわざわざ自らを貶めている。”上”にゆこうとは思わんのか?」
カイン「・・・・・・・・・・・・・・・・」



カイン「そういう貴方も『下級聖品』*ではないか。
水を有難う。もう二度と来ないので安心しろ」





トキ「変わった魔物もいるものだ。単純で判りやすい奴だったのう。
もうすぐ西洋の万聖節か・・・だから前夜のハロウィン(Hallows eve=Halloween)間近になると地獄のフタがあくのだな。」




カイン「あんな恐ろしい者には初めて出逢ったぞ。全て見通されている!」









*教会における悪魔祓い師のレベルは下級聖品(司教等は上級聖品)