2013/04/20
マスケラの男

ノワール社長
「・・・・・・・・・・・・・・・・??」
「遅くまでお仕事ですか?」
ノワール社長
「・・・・・・・・こんな時間に、誰だ?」

「セキュリティ万全のお部屋に帰られてしまっては
もうお逢いできませんからね。
門番を少し眠らせました。」

ノワール社長
「だから誰だときいている。」

「私ですか?
・・・・・誰でもないものですよ。
ご興味いただけなくても結構。

ただ貴方のことは興味がありましてね。
いろいろ調査済みです。

とんだ悪人さんですね。」

「善良な一般人である会社の方々や
取引先には貴方の正体を知られたくないのでは?」

ノワール社長
「何が目的だ?」

「私と取引しませんか?」
ノワール社長
「性質の悪い保険屋なら今すぐ出て行け。」

「そういうわけにもいかないんですよね。
『上』からの指示で。」

ノワール社長
「俺は今ここで目の前のマスケラの男を
ぶっ殺すかどうか考えているところなのだが。」
「私を消したところで組織の者が次の手段で
動き始めるだけのこと。
こんな命など惜しくはありませんよ。
ただ、そちらは命が惜しいでしょう?」
ノワール社長
「では、もう一度、尋こう。
何が目的だ?」

「だから、取引ですよ。」

ノワール社長
「知りたいのは内容だ!!」

「夜毎、貴方の部屋へ出入りしているモノを
少々お貸し願いたい。」
「アリ一匹とて入れない貴方の部屋に
どういうわけか出入りできるモノがいるようですね。」

ノワール社長
(どうやって調べたんだ?)

「お借りするだけですよ。
そうすれば、来月の大口の取引の件は
ナイショにしておいてあげましょう。」
ノワール社長
(・・・・・・・・こいつ・・・・・・。)

ノワール社長
「断るといったら?」

「まず警察が動くでしょう。
貴方の取引先の・・・ええと誰でしたっけ?
ああ、龍月・・・・・・。」

ノワール社長
「・・・・・・・・。」

「あの方も捕まるでしょうね。
そして貴方も・・・・・。」
ノワール社長
「一体、何が目的でアレが要るのだ?
全く解せんのだが・・・。」

「超自然の力とやらを確かめてみたい。
ただの好奇心ですよ。『上』のね。」

ノワール社長
「金ではなく?」

「ええ、別にゆすりにきたのではありませんよ。
お金では手に入れることのできない存在だからこそ、
貴方にお願いしているんですよ。
それとも売ってくれますか?くす。」
ノワール社長
「エクソシストか?」

「いいえ、とんでもありません。
どちらかといえば、そういう類のものを
全く信じてはいない。」

ノワール社長
「フン。警察ごときで俺がビビるとでも思っているのか?
こちらの世界とサツは常に癒着しているものだ。
俺には協力的だぞ。そんなことも知らんのか?」

「あちらの世界とも?」

ノワール社長
「は?」

「目に見えない世界のものを警察は認めないでしょう。
でもマスコミは大好きでしょうから。くす。」
ノワール社長
「もう一度・・・・・ここで断ると言ったら?」

「龍月氏は?」

ノワール社長
「俺には関係ない。別にどうなっても構わん。
もう一度訊く。断ると言ったら?」

「貴方とその『存在』の関係が明るみに出るでしょう。
さすがに困るのでは?」

ノワール社長
「今、やはりここで君を消すべきだな。」

「そうすれば、私の部下たちが動き出し
明日の新聞の一面にはヘラクレス財閥御曹司の裏の顔と
悪事の数々、逮捕のシーンが繰り広げられることでしょう。

お父様がお困りになるのでは?」

ノワール社長
「・・・・・・・・・・。」


「おや、顔色ひとつ変えませんね。
恐ろしい方ですよ、貴方のお父様は。」

ノワール社長
「ああ、あれはいかなる手段を使ってでも
目障りな者は消すだろうな。君も君の組織とやらも。」

「そうかな?相手がロシアの組織でも?
私の父はロシアの軍に通ずる者でしてね。
やはり私も父が怖い。」

ノワール社長
「俺は別に恐くないぞ!」

「強がっても無駄ですよ。
貴方がお父様に逆らったことなど一度もないのですから。」

「失うものは多いはずですよ。
貴方も貴方のお父上も。

ヘラクレスカンパニーの罪もない
社員の皆さんも・・・・」
ノワール社長
「まぁ、いい。
ケーサツもロシアの軍人も恐くはないが
夜毎やってくるアレを引き渡せばよいだけのことなら

・・・・なにやらすっきり腑に落ちないが・・・・

俺には何の損得もないし、
アレを当分監禁でもしてくれたら
むしろ助かるぐらいだ。(監禁できたらな)

検討しよう。」
「貴方が話しのわかる方でよかった。」

ノワール社長
「無意味な暴力は好まんからな。」

「それは助かります。」

ノワール社長
「で、応じた場合の条件は?」

「金輪際、貴方の邪魔はしません。
二度と貴方の前に現れることはないでしょう。」

ノワール社長
「『アレ』はどうなる?」

「さぁてね・・・・手にいれてからでないと・・・・。」

ノワール社長
「貸すということは返すという意味に聞こえるが。」

「ええ、用事が済んだら不要ですから。」

ノワール社長
(別に返さんでもいいが。)
ノワール社長
「ちょっと待て!!俺を脅すとは、たいした度胸だ。
名を教えろ!!」


「だから、誰でもない者ですよ。失礼。」
カタン・・・・
「では・・・応じてくださる場合には、明日
早朝にあの方を門へ。
拘束する必要はないでしょう。取引成立したことですし。

貴方はいらっしゃらないで下さい。
それでは。」